海外転勤やノマドワーカーなど、さまざまなスタイルで海外で働く日本人が増えてきました。
そんな人たちに憧れて「自分もいつか…」と思われている方もいるはずです。けれど、何をすればいいのかわからない、本当に海外で生活できるのだろうかなど、未知への不安で一歩踏み出せない人もいるのではないでしょうか。
今回インタビューをさせていただいたチャイカプさんはタイの会社でサラリーマンとして働きながら副業でブログ、TwitterやYouTubeなどのインフルエンサー活動に力を入れています。
ニート生活も経験され、海外勤務につながる華々しいキャリアはまったくなかったと語る彼がどのようにして海外で働けるようになったのでしょうか。また、現地で自分の理想のライフスタイルを送るための考え方やご自身の取り組みについて、お話ししてくださいました。
インタビュアーは同じくタイに在住するフリーライターですが、チャイカプさんのお話に金づちで頭を打たれたような気分になりました。海外でも自分らしく働きたいと思われる皆さんが「自分もきっとできる」と勇気づけられること間違いないでしょう。
目次
チャイカプさんの現在のライフスタイルを教えてください

本業はタイで多角的に事業を展開している会社で、日本人向けの販売サイトのコンテンツ管理や集客を担当しています。副業としてブログやサイト運営、YouTube投稿に取り組んでいます。
これまでは人材派遣の営業などまったく畑違いの会社で勤めていたので、今の会社は未経験での採用面接でした。けれど面白いことに面接中に僕が運営しているブログの話になって、売上や閲覧数など結果を出していることが会社に認められて、そのおかげで入社することができたんです。
‐副業のブログがきっかけで就職できたのはすごいですよね
そうですね。転職で必要なキャリアは、正社員として勤めてきた経験だけじゃなくて、自分自身で積み上げたものもキャリアとして認められることもあるんだと、可能性を感じられますよね。
‐ブログはいつから始めて、どんな発信をされているのでしょうか?
始めたのは2015年で、当初は日記のように好きなことを書き続けていたのですが1、2年くらいしてからブログでも稼げることを知って勉強を始めたんです。でも、だからといってテーマを決めていたわけでもなくて、自分が苦労してきたことを書いて、読んだ人は同じことで苦労しなくて済むようなことを書いていきたいと思って続けてきました。
僕がタイに移住したときは今と比べてタイに根差したブロガーはとても少なくて、現地の情報がもっとあればいいのに…と感じたんです。だったら自分で発信しようと思って、今のブログのテーマにつながりました。
(チャイカプさんのブログ『チャイカプ~タイ就職・タイで働く~』はタイの現地情報や海外就職についてご自身の経験を基にした情報が盛りだくさんです)
タイで働くようになるまでの経緯はどのようなものだったのでしょうか?
最初は人材業界で勤務していたのですが、そこがあまりにもブラックで心身共にしんどい日々でした。そんな働き方に違和感はあったのですが、周りの人はそれが当たり前になっていて、会社のルールに従わなければいけないなっていう気持ちだったんですよね。
あと、自分は特別営業スキルが優れているわけでもないから、このまま会社で長く勤め続けてもいつかクビを切られるんじゃないかもしれないって思っていました。かといって自分は会社勤めしか経験したことがないから、どうしたらいいか分からなくて惰性的に勤め続けてました。
(人材業界で働いていたときのチャイカプさん。撮影時刻は23時。社員がこの時間まで業務をするのが当たり前だった)
それである日、入社して間もない後輩が急に退職して「なんで辞めたの?」って聞いてみたら「面白い人に会って話を聞いたら、働き方を変えたいと思った」って言ったんです。
気になってその方のブログを読んでみたらすごく共感できることばかりでした。特に強く印象に残っているのは「会社の幸せと自分の幸せは必ずしも重なるものではない」っていう言葉でした。周りと少しズレていると思っていた自分の考えはおかしいことじゃないんだなって思えたんですよね。僕も実際その方にお会いしてお話を伺って、組織に縛られた生き方をするのは辞めようと決心することができて会社を退職しました。
‐一大決心ですよね。それからすぐに海外へ転職されたのですか?
いえまったく。実はちょっとだけニート生活を送っていました。実家に引きこもって毎日ゲームばかりで、親父に追い出されたのがきっかけで強制的に社会復帰しました(笑)でも、貯金もなくて消費者金融からお金を借りていた最悪の状況だったので、安く住めるところを探さなくちゃいけなかったんです。
そこで見つけたのが、フリーアコモデーションっていうゲストハウスに住み込んで働くもので、ベッド1台と水光熱費は無料で提供されて、週5日シェアハウスの仕事をする生活をしていました。人材で働いていた時に比べて精神的には楽な仕事ではありましたが、「俺なにやってるんだろうなぁ」って自己承認欲求は満たされない生活を送っていましたね(笑)
【家賃0円生活】
そしてニートしてたら実家を追い出されたので、ゲストハウスに住み込み生活。
フリアコですね。これは良いですよ〜✨日本は家賃が高いから、それを削れると支出が大きく減ります。
そこで会うお客様の韓国人やフランス人など、外国人の観光案内。楽しんで英語使ってました😌✨ pic.twitter.com/UU6QPZvzh7
— タイ就職×複業🇹🇭チャイカプ@バンコク中心に多拠点生活 (@genchisaiyou) August 22, 2018
‐でもここがチャイカプさんの海外生活のスタートになったんですよね?
ええ、ゲストハウスには外国からの旅行客の利用が多くて、彼らを観光案内すると役に立っている気持ちになれて自己承認欲求が満たされて「こういう仕事もいいな」って海外を意識するようになっていったんです。でも、まずは借金を返さなくちゃいけないなって思って、ゲストハウスでの仕事は夜勤にして、昼間は契約社員の営業事務をやって二足のわらじで返済していきましたね。
働きながらどうやって海外にかかわる仕事に就くか自分なりに真剣に考えるようになっていって、まずは英語力を身に着けなくちゃということで、3か月間フィリピンに語学留学もしました。そのときには、一年中温かい東南アジアで働くのがいいなぁって思うようになりましたね。
フィリピンから帰ってきてから、また仕事見つけなくちゃいけないなと思っていたときに、国が提供する『グローバル人材育成事業』という若手の海外就労を支援するプロジェクトを知って応募したら、面接に受かったんです。
行きたい国を希望することができたので、東南アジアのタイかインドネシアを希望したらタイになりました。タイは生活しやすくて、育成事業の契約が終わってもタイで仕事できるようにしたくて契約中に次の仕事を見つけることができました。タイに在住し続けることができるようになって、現在に至りますね。
海外でも副業をしようと思われたきっかけは何でしたか?

タイで最初に就職したのは大手企業だったんですが、そこで働いている人たちの生き方が自分とはちょっとあわないなって思ったんです。飲み会で話す内容も「いい人紹介してよ」とか「景気悪いなー」って愚痴をこぼしたりとかで、また違和感があったんですよね。
海外で就職することはできたけど勤めている会社で自分の承認欲求を満たしたり、やりがいを感じたりすることができなかったので、自分でできることで現状を変えるしかないなと思って始めたのが最初にお話ししたブログだったんです。
ブログを通じてフリーランスの人たちとつながることができて、彼らの生き方や働き方を知って「こういうものもあるんだ」って自分の知見を広げることができました。自分でできることはなんだろうと同時に、やりたくないことも考えるようになりました。たとえば僕の場合、寒い冬が嫌いだからタイに来た、残業したくないから定時で帰れる会社で働きたい、スーツを着たくないから自由な服装で働ける職場がいいっていう感じで。
『やりたくないことを消す』
自分のストレスの原因を徐々に減らしていくライフハックはオススメです
いきなり全部やろうとすると結構大変で、それが新しいストレスになりかねません(過去の私)
個々人のペースで消せるところから😊 https://t.co/Ns5Xv1pbkc
— タイ就職×複業🇹🇭チャイカプ@バンコク中心に多拠点生活 (@genchisaiyou) September 24, 2019
理想を叶えるにはお金が必要だなぁと漠然と気づいていったなかで、ブログでもマネタイズできることを知ったので、じゃあ頑張ってみるかって副業として取り組むようになりました。
‐やりたいことを叶えるのではなく、やりたくないことをしない生活を送るって面白い考え方ですね
そうですね。そうやってきて今は本業も変えることもできて、定時で帰れるようになったし、スーツを着ないで働くこともできるようになりました。僕がやっていたときは今に比べて情報も少なかったし、遠回りなところもあったと思います。でも今は実現しやすい環境が整ってきていると感じているので、正直これから自己実現しようとしている人が羨ましいなって思うほどです。
海外でも自分らしい働き方を実現するためのアドバイスをお願いします

まず海外移住についてですが、当時は海外就職を経験した人も副業をしている人も身近にいなかったので、自分がやろうとしていることにビビッていたんですよね(笑)情報も少なかったですし。でも、行動してしまえば何とかなるものだなって思えて、むしろもっと早くやればよかったって後悔しているほどなんです。
だから、やったほうがいいと思うこと、やってみたいことは早くやったほうがいいと思います。年齢を重ねると、結婚や社会的責任とか背負うものが増えていって身動きがとりにくくなってしまいますしね。
とはいえ人それぞれ事情が違うから、自分なりのリスクヘッジをしておくことが大切です。海外移住については、テレビやインターネットで知った現地の情報だけでなく、自分が実際に現地で過ごしてみるべきですね。できれば旅行感覚ではなく、「自分がここで生活する」という目線で過ごすようにしたほうがいいです。
僕は旅行先で自分がストレスを感じずに生活できるかっていう視点でいろいろ見ていました。僕の場合、タイは雨季と乾季があるけれど、雨季の洪水で自宅となりそうなエリアが冠水しないか、自炊はしないから近くに日本食レストランはあるかとか。自分がストレスを感じずに過ごせるかどうかを視察できるといいですね。
海外に行ってみた結果、
「自分には合わなかった」
「何か違和感を感じた」別にこれでも良いんですよね。大事なのは、あなたに合うかどうかを、あなたが感じること。
ダメなら次の選択肢に進めるわけで。まずは今週末に旅行するところから✈️始めてみたら良いかな、と😌 https://t.co/F2pxbHED1h
— タイ就職×複業🇹🇭チャイカプ@バンコク中心に多拠点生活 (@genchisaiyou) August 21, 2018
‐副業についても通ずるものがありそうですよね
副業については、今はリスクなく自分の生活の延長上でできるものがあるので、すぐにでも始めるべきですね。いろいろ心配や不安があって始められない人もいるとは思うのですが、それはやっていって結果が出てきたら対策を考えればいいんじゃないかな。
副業は自分が働かなくても収益を生み出せる資産系のものに取り組むべきだと僕は考えていて、ブログやYouTubeをやっているんですね。でも、始めてすぐに収益化できるわけではないから、時間をかけないと結果が出ません。そういった意味でも、すぐに行動に移すべきかなって思いますね。
海外で生活するのも副業も、情報を収集したらすぐに行動に移すことが大切です。人間って情報を得てやる気になっても、2、3日したら冷めちゃいます。だから熱量があるうちに行動していくことで、自分のやりたいことや理想の生活が実現していくはずですよ。
編集後記
終身雇用や残業が一般的な時代でサラリーマンとして働いていたチャイカプさんは、自分の違和感と周囲の感覚の違いに戸惑いや不安をもちながらも、さまざまな出会いや経験を経て自分らしさを大切にした生き方を実現しようと決めて行動してきました。
これまで自分が経験したことがないことに取り組むのに、不安を抱くのはおかしいことではありません。けれど、一歩踏み出したら見えてくるものがあり、そのときに次はどうしようかと考え行動し、その繰り返しで自分の望む生活を実現することができるのだとチャイカプさんがご自身の体験をもって伝えてくれました。
チャイカプさんは桜が大好きで、いつか日本の桜を眺める縦断旅行をするのが夢だと楽しそうに話してくださいました。やりたいことを叶えるためには何をどうすればいいかと、現在も変わらず行動を続けています。自分らしい生き方をしていきたい、そんな自分の考えに共感してくれる人の力になりたい思いとともに副業に取り組まれていくと意気込んでいました。
(チャイカプさんの発信活動が多くの人に影響を与え、2019年は東京で講演が開催されました)
副業ビギナー編集部は、チャイカプさんのように自分の想いを大切にした生き方をしたいと思う皆さんが行動するきっかけになるための役に立つ情報やインタビュー記事を公開していきます。
‐チャイカプさんのブログ・SNS‐
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